Images of アンリ・トルネ=シャヴィニー
レッチェンの谷(タール)はローヌ河の支流のロンツァ河が流れるがローヌ河と合流する直前のゴッペルシュタインの谷が狭くて急峻で道を作ってもなだれで流されてしまう。この谷のケルトの一族は2700mの峠を越えねばならず長い間隔離されていた。
1913にカンデルシュテークとゴッペルシュタインの間にレッチュベルクトンネルが出来道路が整備されてようやく外界と結ばれるまでは昔からの生活様式を護っていた。その名残がなまはげのような仮面をかぶった悪魔よけ、ご聖体の大祭の行列、ドイツ系スイス語と異なる言葉などに今でもうかがえる。交通が便利になったとは言ってもまだ素朴な雰囲気に魅せられて辻村伊助、三田幸夫、犬養道子などが訪れている。
私がこの谷に興味がわいたのは皆さんの手記にあるような古い素朴な雰囲気の外に、ビーチホルンを見たかったからだ。1996年の2回目のサースフェーからの帰りのバスの正面にピラミッド型の独立峰に見える山に気付き隣の土地の人に聞いてそれがビーチホルンだとわかった。
その後いろんなところから見たが特にハニックアルプからと、モンテローザをイタリア側から見たくて越えたモンテモロ峠からの、いずれも真正面にすっきりした姿を見せてくれたのが印象的でますますもっと近くから見たくなった。
昨年このモンテモロ峠越え後すぐにこの谷に入りビーチホルンを眺めることができた。そのときは雲がかかりきれいな姿を見れなかったので、今年はかみさんにも見せたいこともあって再びやってきてビーチホルンに対峙する中腹の散歩道を再度歩く。
この道は犬養道子が本の付録にあまり知られぬ楽しみの手引きとして「ビッチホルンを正面に見て山の中腹を行く爽快な散歩道あり(原文のまま)」と書いている。
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