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1970年代、自然保護の一環で、水鳥、渡り鳥等の保護の目的で世界に点在する湖沼地帯を登録し、保全を推進する国際条約が締結された。自分がこのラムサール条約を最初に知ったのは、今から30~40年程前、宮城の伊豆沼に秋になると毎年北のシベリアから鶴が飛来してきて、一休み羽根を休めてから冬に入る前に更に南方の九州鹿児島の出水まで飛んでいくテレビ映像を見て、この渡り鳥を保護する条約があることを知った。
ラムサール条約とは国連、ユネスコが所管する条約で、イランのラムサールという場所で関係国が集まり条約締結となったもので、現在世界では1000カ所以上の湖沼地が登録され、日本にも50カ所以上が登録されている。この大沼とか伊豆沼は早い時期の登録で、日本全国に点在しているが、何と言っても大自然がより多く残されている北海道が一番多いと思う。
自分も北海道にある100名山登山で、何回かに分けて北海道にやってきて、レンタカーを借りて回ったのだが、その時、登山の合間の息抜きに湖を見ることもあった。確か司馬遼太郎の「街道を往く」の中にあったと思うが、釧路、根釧原野を通り抜け、山中に入った然別湖が素晴らしい、と出ていたので、そこまで車を走らせて行ったが、確かに森林の中にポツンと取り残されたような静かな湖面で、この山中の湖まで見にやって来る人はまばらだった。
北海道の思い出は殆どが山に尽きるものだが、洞爺湖、摩周湖、阿寒湖、オンネトー、知床湖、風連湖、等々、記憶に刻まれている。この大沼も自転車で周遊したことによって、深く記憶に残るだろう。大きな太鼓橋のたもとに高浜虚子の句碑があり、更にその横には、ランチの台船が係留されている。10人程度の客を乗せ、台船上でランチを食べながら、この湖沼地帯を縫って航行するのだろう。誠に優雅でリッチなランチオンだ。外国にはこうした優雅な水上ランチはあちこち頻繁に見かけるが、日本では珍しい。地元函館の人なのか、内地からやって来たツアーの一環なのか、このコロナ下でも継続されているのは、喜ばしいことだ。その台船が舫いを解いて湖上に滑り出て行くのを見て、自分はスタート地の広場公園に戻って行った。