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今日は岐阜県中津川市(旧・恵那郡川上村)と長野県木曽郡南木曽町の境にある夕森天然公園(1560m)に登ってきました。公園といっても1500mの高地にある山上の自然の湿地帯です。
昨夜は近くの岐阜県中津川市坂下町にある道の駅に車中泊しました。夜になっても蒸し暑く、蚊が入らないように窓を閉め切っていたため暑さで熟睡はできませんでした。朝方になって雨になり、今日の登山をどうするか悩みました。というのは、この登山道は木道が多く、雨で濡れていると滑って危険です。実は2009年9月にも登っていますが、雨で濡れた木道が傾いていて滑りやすくとても危険で途中で引き返した思い出があるからです。仕方なく、諦めて寝なおすことにしました。6時ごろに再び目が覚めると雨は止んでいました。また雨になり危険になったら引き返せばいいという気持ちで登山を決行することにしました。
田立の滝(こういう名前の滝はありません。たくさんの滝の総称です。)に向かって登るのですが、登山口駐車場には一台も停まっていません。こんな天気で登る「もの好き」は他にはいないだろうなと思い、午前7時に出発。早々に数匹のアズマヒキガエルに出会いました。谷沿いの登山道だからか、今にも降りそうな天気だからか分かりませんが、こんなに多い個体に会ったのは初めてです。大きな体(15cm以上)で、動きが鈍いこのカエルは何を捕食しているのでしょうね。出会ってもあまり逃げないので、反対に天敵に捕食されてしまうのではと心配します。
実は今日この山に登ることにしたのは、この時期にはタマガワホトトギスが観察されるということを知ったからです。今までに見たことがない、黄色のホトトギスです。頂上の天然公園に行けば見ることができると思い、何としても登頂したくなり歩を進めます。このルートはいくつもの大きな滝を見ながらの涼感あふれた道を歩きます。絶壁に掛けた木の橋、木道、つり橋など、手をかけた登山道です。2009年にはどれも古くて朽ちているものが多かったのですが、今回はかなり新設されたものが多く、安心して歩けます。でも中には朽ちたり壊れたりしたものも残っていて、緊張を強いられる箇所も多々ありました。隙間が多い橋や木道は慎重に歩かないと足を踏み外します。滝のしぶきがかかる場所は木道も濡れていて滑ります。2時間ぐらい登ると林道に出ます。頂上と同じぐらいの高度にある平坦な林道で、車は通行止めになっているため登山者には安全です。実はこれは昔の森林鉄道跡で、昭和初期に鉄道を敷くために手で掘られたトンネルがありました。道沿いにはリンドウ(またはオヤマリンドウ)のつぼみがたくさんありました。これから花期を迎えるのでしょうね。
林道を1時間ぐらい歩いて頂上の天然公園に着きました。古い木造の展望台があり、上がると中央アルプスや北アルプスが見えるはずですが、今日はガスがかかり、霧雨も降っているため近くの山しか見えません。午前10時の気温は19度、雨で濡れた服が冷たく感じます。早いですがランチです。聞こえるのは鳥の声だけで静かです。ウグイス、ホトトギス、コマドリ、それとあちこちで聞こえたアオバトの声もここでも聞けました。湿地と言っても今では乾燥化が進み、ほとんどがササに覆われています。一部に新しい木道が設けられていますが、ほとんどが古くて朽ちかけた木道です。ササの向こうに別の湿地が見られたので藪漕ぎをして向かうと、広い湿地がありモウセンゴケがびっしりと生えていました。ここはだれも来ないし、ミズゴケがあるので靴が沈みます。そこには入らないようにして、外へ出ました。今度天気がよいときに来て、もう一度調べたいと思いました。天然公園を歩き回ったときもタマガワホトトギスがないか薄暗い森の林床を注意して探しましたが、見つかりませんでした。もう終わったのか、またはまだ咲いていないのでしょうか。1時間ぐらい歩き回りましたが、成果がないので諦めて下山を開始しました。
下りは濡れた木道がかなり滑りやすく、登りよりも慎重に歩きます。それでも滑って転びそうになることが何度もありました。そのときから登ってくる登山者に次々と会いました。多分9時過ぎから登り始めたようです。と足元を見ると黄色のホトトギスが!登山道に覆いかぶさるように咲いていました。登りのときは滑りやすい岩に気を取られていたので、近くにあるタマガワホトトギスに気づかなかったようです。探してみると3ヶ所に咲いているのを観察できました。興奮して写真を何枚も撮りました。出会った人たちにその話をしても関心がないようで、「あーそうですか」で終わってしまいました。
無事下山しましたが、汗と雨で体がべとべとして気持ちがいいものではありません。さっそく先日の南木曽岳下山後に入った温泉に電話をすると、空いているからどうぞおいでくださいとの回答。柿其温泉(かきぞれおんせん)の「いち川」へ向かい、ヒノキの香りがする温泉に入りました。これで生き返ったようになりました。歩行数は26,000歩になりました。