『露伴全集』第5巻(岩波書房、1951年)に「幕末の政治家」が収められている。幸田露伴が明治30年に発表したもの。焚くとその煙の中に死んだ者の姿が現れるという伝説上のお香・反魂香を用いるという体で幕末の大名や幕臣の容姿、人となりを紹介する興味深い一編である。 〈「小説材料帳」といへる秘密の経を心誦しつつ、そぞろに幕末の人々が上をおもひて、観得たるおもむきを語らんかな。〉 露伴の父親である幸田成延は奥御坊主衆として、江戸城に勤務して、大名や幕臣と身近に接していた幕臣であるため、露伴はその父の回想を主要な材料としてこの一編を書いたものと推定される。 この幕末の幕閣、幕臣らのポートレートの中なら、今… Male Sketch, Book Cover, Plain
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