Images of 貞観

横浜市都筑区南山田町に鎮座する山田神社には竜や鳳凰などの精巧な彫刻が施されている本殿があり市の有形文化財に指定されているが、見難しい。覆殿の中にあるからだ。祭神は大日霎貴尊、建御名方神、天之御中主神、應神天皇、日本武尊、倉稲魂命、菅丞相霊、伊弉冊尊、大己貴尊である。貞観2年(860年)、天台宗延暦寺慈覚大師の弟子である安然和尚が諏訪神社を祀ったのが始まりであり、文政2年(1445年)、諏訪山大普門院観音教寺第八十五世正応僧正が武蔵國秩父郡大宮町の妙見社の御分霊を奉遷鎮祭した。明治43年(1910年)に、神明神社、諏訪神社、八幡神社二社、熱田神社、稲荷神社7社、菅神社、熊野神社、子聖神社を妙見社へ合祀すると同時に山田神社と改称した。そのために、祭神の柱数が多い。
本殿は2m四方ぐらいの小さな社殿で、参拝者は3間四方の覆殿を本殿と思って見過ごしていく。明治末に多くの神社を合祀したときに、境内社や摂社としてではなく、本殿に祀ったのは妙見社であれ、諏訪神社であれ、八幡神社であれ、9柱16社の社殿がいずれも小さかったからだろう。今ある本殿はおそらく妙見社の社殿であろうか。横浜市域で覆殿がある神社では、ここ山田神社と春日神社(栄区小菅ヶ谷3)は古くから覆殿を被り、師岡熊野神社は平成になってから覆殿を被せ、富岡八幡宮は平成になってから覆殿を復興させた。また、鎌倉市域では諏訪神社(玉縄)と駒形神社(寺分)と北野神社(山崎)が古くから覆殿を被っている。
また、神社の祭礼ではないが、7月の「虫送り」行事(市指定民俗芸能)は、この境内から出発点する。
市営地下鉄グリーンライン東山田駅で地上に出るとケータイの電波塔が見える長く続く小高い丘(山)がそれである。山頂にある社殿まで、ほぼ一直線におよそ250mの参道が続く。その間に4つの鳥居が建っている。社殿横の電波塔あたりから裏参道があり、こちらが近道である。
(表紙写真は山田神社拝殿)