Images of SALAAR/サラール
パキスタン北西部の山深い峡谷にひっそりと暮らす民族の村がある。女性の美しい民族衣装で知られるカラシュ族だ。女性は丈の長い黒のドレスに赤や白のステッチをあしらい、ビーズや貝で飾った頭飾りをしている。中央アジアの雰囲気を持つくっきりとした目鼻立ちに長く伸ばした黒髪はきれいな三つ編み。とにかく女性はみんな美しいらしい。
チトラールの町から崖崩れ寸前の山道を乗合ジープに揺られて二時間。これ以上はないと言うほどの山奥でジープを降りる。
宿は「カラシュ・ホーム・ゲストハウス」文字通りカラシュ族の民家にステイする民宿だ。カラシュ族の生活に密着しながらの滞在。玄関を入ると元気な子供たちが旅行者を迎える。
これほどまでに山奥なのにさらに奥深くどこまでも続く山並み。道の下を大きな音をたてて流れる川。川原の平地に点在する石と木を組み合わせて造られた素朴な民家。それ以外何もない。本当に静かなところだ。テラスに座り、タバコをふかしているだけで何もせずにずっと居座りたくなってしまうような落ち着き。
夜の星空は自分が知り得るかぎり最強。ミルキーウエィが白い帯のように夜空にくっきりと浮かんで見える。流れ星は、、、空さえ見上げていればいくらでも見れる。こんなに素敵なら、できれば女の子と来たかった(泣
村での4日間はもっぱら子供達と遊びまわって過ごした。テラスでボーッとしていると「カムカム」と言っておじさんを連れ出し、村中を隈なく案内してくれる。俺らだけの遊び場だぜ!みたいな感じで。暑くなったら川遊び、クリケットにトランプ、算数のお勉強、、、なんだか小学生時代の夏休みに戻ったみたいだ。少年の心に戻ったような懐かしい気分だ。
でも小学生に戻りたいかと言われれば、戻りたくはない。
村には数年前から電気が通っているらしいが、まともに電気がついたのは一日だけだった。夜になればランプを囲み、主人ご自慢の自家製ワインを飲みながら、村の生活や、自分の国のことなどをほろ酔い気分で語り合う。必要最低限の暮らし。モノもないけどストレスもない(?)村の人には変な欲もない。みんなとてもあったかい。ぎすぎすした自分のサラリーマン時代と比較したりして。こんなところに住んでみたいな。なんて思ったりしながら、、、
でも物欲にまみれて育った30年。今更無理だと思う。100%日本人。