Images of アルフォンス・アレオラ
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1962年3月19日(月)
タラスコンでの昼食後、電車に乗り14時アルル下車。
アルフォンス・ドーデの戯曲に、ジョルジュ・ビゼーが作曲した「アルルの女」のメロディーは、南フランスの明るい風土を表現していて、私の大好きな曲だ。
ゴッホがしばらく滞在して、私の好きな「夜のカフェテラス」や「ひまわり」などの名作を描いたのも、このアルルだった。
ゴッホはこの周辺の光景に強くひかれ、ゴーギャンとの共同生活を試行しようとするが、間もなく耳切り落とし事件が発生し、夢は消える。
私にとって、夢やあこがれがちりばめられている町アルル。
胸を膨らませながら、土を踏む。
アルルはローヌ川で一番下流の橋がかかる、交通の要衝だった。
ローマ時代は、西ローマ帝国の首都ともなり、円形闘技場、古代劇場、地下回廊、公衆浴場、城壁などなど、たくさんの遺跡を遺している。
しかし今日は時間が不十分なので、ざっと町の空気を味わうだけだ。
16時発の電車でアルルを出発し、17時マルセーユに着く。
駅から近いホテルで、予定通りイラン鉄道技師アビビさんとの合流に成功する。
この人と今週一週間、行動を共にする予定だ。
私と同じフランス政府招待社会人留学生だが、年齢は43歳と高い。
留学生は35歳以下の筈だがと、彼の年齢を不審に思ってとがめる。
すると「イラン国鉄では若い人がみんな既にフランスに行っており、私くらいの年齢層しか残っていないのだ」との答えだった。
日本では極めて狭き門なのに、ずいぶん違った社会情勢に驚く。
同時に、社会人招待によるフランスの、途上国に対する浸透ぶりは素晴らしいと、改めて感心する。
わが国も見習うべきことだろう。
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(2010.11.28片瀬貴文)