Images of キルスウィッチ・エンゲイジ
キルスイッチエンゲージ 今やアメリカのヘヴィメタルシーンやハードコアシーンを語るうえで避けては通れないものとなったMAメタルというマサチューセッツ発祥のムーブメント。そのMAメタルのみならず、アメリカでも最も重要なバンドとしての呼び声が高いキルスイッチエンゲージを紹介します。 キルスイッチエンゲージは当時マサチューセッツのバンドシーンを牽引していた代表的バンドであるアフターショックとオーバーキャストのメンバーが出会ったことにより結成し活動がスタートしました。また、メンバーの出身地であるマサチューセッツは当時ヘヴィメタルとハードコアの融合を試みたバンドが多数存在した地域で、そのような試みを行って活動していた一連のバンドやその動きがMAメタルと呼ばれています。キルスイッチエンゲージも他に漏れることなくその様なスタイルを、現在ではメジャーとなったメタルコアという音楽性を武器に活動しています。 オーセンティックなヘヴィメタルファンからは敬遠されがちなメタルコアという位置づけがされる中でイギリスのロック専門誌から最高の評価を受け、本国アメリカのロックチャートで4週連続1位となるなど商業的にも大きく評価されました。 ライブ活動でもハードコアバンドとのツアーを行う一方でヘヴィメタルバンドとツアーを行い、日本でも今年のラウドパーク2016に出演するなどしてヘヴィメタルファンとの距離もしっかり埋めています。また、リスナーのみならず先輩バンドへ多大な影響を与えていたり、スラッシュメタルを代表するスレイヤーのギタリスト「ケリー・キング」からは「彼らのファンである」とコメントが出るほどの実力です。 そんな彼らの魅力である、MAメタルというハイブリッドなスタイルから繰り出される楽曲を聴けばジャンルの垣根を越える価値をどの様なヘヴィメタルファン、どのような音楽ファンにも伝わるのではないでしょうか。一聴の価値がある重要なバンドです。 ・キルスイッチエンゲージ 2000年にリリースされたキルスイッチエンゲージのデビューアルバムです。メンバーが所属していたバンドで推し進められていた、ヘヴィメタルとハードコアの融合の影響が色濃くみられる音源となっています。 前述した通り、メタルの様式美的な楽曲構成とハードコアの破壊力満点な展開で畳み掛けるアルバムで、時に猛烈なビートアップとダウンを見せ、キャッチーで耳に残るメロディで展開されるハイクオリティにクロスオーバーされた楽曲群が特徴です。ファーストアルバムながら彼らが牽引してきたMAメタルの核となった不朽の名作です。 当時のボーカルは密度が濃く伸びのあるスクリームと、クリーンボイスを併せ持つ現ボーカリストのジェシー・リーチが担当しており、MAメタルの持つ特色を最大限に生かしています。 地元から世界へ羽ばたくきっかけとなった彼らのデビューアルバムを聴いたことがない方も、一度耳にしている方にも是非聴き込んでいただきたい作品です。 ・アライブオアジャストブリージング 2002年にリリースされたキルスイッチエンゲージの2作目となるアルバムで、メタルコアという音楽性を確立させた重要な作品です。彼らの在籍していたバンドが推し進めていたヘヴィメタルとハードコアのクロスオーヴァーを完璧に昇華させた楽曲群で構成された今作は、ヘヴィメタルやハードコアなど各方面で高い評価を受けました。 ハードコアの荒々しさを漂わせつつメタルの攻撃的かつ美しい展開をはっきりと示したスタイルを取っており、4曲目のマイラストセレナーデなど現在もライブで演奏される名曲が収録されています。また、前作からよりメタル側へのアプローチを強めておりヘヴィメタルファンからの評価が高い仕上がりです。 新たなスタイルを模索し完成させようとした彼らの荒削りながらも魅力にあふれたアルバムですが、毛嫌いされがちなジャンルとしても認識されています。しかし聴かず嫌いをせずじっくりと一曲一曲聴き込んでいって欲しい至高の作品です。 ・ディスアームザディセント 2013年にリリースされたキルスイッチエンゲージ6枚目となるアルバムで、2002年から2012年まで在籍していたボーカリスト、ハワード・ジョーンズの後任としてジェシー・リーチが復帰した作品です。 音楽性はこれまで以上にヘヴィメタルへ傾倒したアプローチとなりました。ギターフレーズはもちろんのことドラムにも変化が見られており、ブラストビートなどを用いて、さらに疾走感と攻撃的な表現を追求しています。またキャッチーに演奏される4曲目のインデュータイムや、ミドルテンポでどっしりとした曲調で畳み掛ける11曲目のオールウェイズなどヘヴィメタルの要素に留まらない魅力を持っています。 全体的にメタルコアとしての様式を確実に形にしたヘヴィメタルやハードコアを含め、今後のシーンへの確かな指標となる作品です。これらのスタイルに触れてこなかった双方のファンには必ず手に取っていただき、数えきれないほどに聴き込んでいただきたい作品の一つです。