Images of リプレース
同年9月1日、自民党総裁選挙への出馬を正式に表明した。また同時に、「美しい国、日本 」と題した政権構想のパンフレットを発表し、同党所属の国会議員に配布した。憲法改正や教育改革、庶民増税を極力控えた財政健全化、小泉政権の聖域なき構造改革に引き続き取り組む方針を示す。4月12日、「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議員連盟」の顧問に就任。20日、党憲法改正推進本部の最高顧問に就任する(高村正彦は留任)。11月11日、所属する細田派会長の細田博之が第78代衆議院議長に就任したため派閥に復帰し、後任会長に就任した。「安倍派」となった自民党内最大派閥の会長就任後、活発に活動・発信を行い、憲法改正、積極財政、防衛力強化などを訴えた。令和4年(2022年)7月8日〜7月18日、奈良県大和西大寺駅前の事件現場近くに遺影と献花台を設置。10日間で10万人以上が献花に訪れた。海外メディアの取材に対し、板垣退助の玄孫・髙岡功太郎は、「歴代最長政権とは、客観的な尺度で申し上げると、日本の憲政史上、最も長く国民から支持され、国民から愛された首相と言える」と語り「憲法改正に真剣に取り組まれたお姿は、我々国民の希望の光であった」と評価した さらに明治維新以降連綿と培われた日本の議会政治の歴史を述べ「安倍先生の国を思う精神がこの様な、言論を封殺する暴力によって失われることがあってはならない」と述べた。同年7月14日、岸田文雄首相は記者会見で、同年の秋に安倍の国葬を行う考えを明らかにした。同年7月17日、岐阜公園の板垣退助銅像前で、板垣退助岐阜遭難140年と安倍晋三元総理銃撃事件を悼み、祝詞奏上、玉串拝礼を斎行。板垣退助の玄孫・髙岡功太郎らも参列し献花と黙祷が行われた。髙岡はメディアの取材に対し「国葬云々の議論が出ているが、今、日本は国難の渦中にある 特に国防と安定的皇位継承に関しては、日本の根幹に関わる最重要課題 安倍先生は、歴代のいかなる首相よりも積極的に憲法改正に取り組んでこられた その功績を広く知って貰えば、答えは言わずとも明らかではないか」と語った。 同年7月22日、政府は、日本武道館で9月27日に国葬を行うことを閣議決定した。岸田の国葬実施の表明を受け、山口県知事の村岡嗣政は7月15日、記者団の取材に応じ、安倍の県民葬を実施する考えを示した。8月3日、妻の昭恵は山口県庁を訪れ、村岡と面会。昭恵の了承が得られたため、村岡は同日、下関市にある県国際総合センター「海峡メッセ下関」で県民葬を10月15日に行う方針を改めて述べた。日本経済新聞 2017年5月4日。改憲への期限を明言した安倍の発言は海外でも報道された。2017年9月の衆議院選挙において、安倍の憲法に自衛隊を明記する公約は、選挙協力する公明党が困惑し、憲法学者らの集会では集団的自衛権の行使を可能としたことに触れ「憲法を改正する資格はない」「総理大臣が最も憲法を順守していない」と述べられた。2020年5月3日、ビデオメッセージで新型コロナウィルスの感染拡大を受け、憲法改正で緊急事態条項の創設の必要性を訴えた。小泉政権により強化された日米安全保障条約をさらに充実させるため在日米軍と自衛隊の一体化を目指しており、集団的自衛権行使のための憲法改正も視野に入れている。 安倍政権の外交方針について、北海道新聞や沖縄タイムスなどからは対米追従であるという批判 や懸念 があるが、2013年3月の施政方針演説 によれば「日米同盟をより強固にしたい わが国の安全確保の観点から当然の取り組みであり、地域の平和と安全に資する 対米追随外交との指摘はまったくあたらない」としている。2013年の韓国の月刊誌「月刊朝鮮」(2013年4月号)による安倍へのインタビューで、安倍は日韓関係はじめ歴史問題や憲法改正などについて語った 朴槿恵政権とは2015年12月に不可逆的な解決と10億円拠出を盛り込んだ慰安婦問題日韓合意を行い、翌年2016年には日韓初 の防衛協力協定である日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)も締結し、日米韓の枠組みで初のミサイル防衛合同演習も行った しかし、朴槿恵大統領の弾劾後は2018年5月9日に日中韓首脳会談のために初訪日した文在寅大統領とは日韓間の懸案は先送りされ、その後の個別の首脳会談で日中が複数の合意文書を交わしたのに対して日韓では目立った成果がなかった 徴用工訴訟問題をめぐって文大統領に「戦略的放置」で対応したとされ、対抗措置も関係省庁に指示したため、文大統領から「日本の政治指導者が政治的な争点とし、問題を拡散させている」と批判され、李洛淵首相も「日本の指導者は反韓感情を利用しているとする見方もある」と反発した 日韓合意に基づく慰安婦財団の韓国による一方的な解散、韓国海軍艦艇による自衛隊機への火器管制レーダー照射、文喜相韓国国会議長による天皇明仁への謝罪要求など日本の対韓感情を損ねる事案も続発し、日本では「日韓関係は史上最悪」と評されるに至り、2019年からは日本側はキャッチオール規制(補完的輸出規制)において優遇措置対象国のホワイト国から韓国を除外して韓国側もGSOMIAを破棄するなど日韓貿易紛争とも呼ばれる状態となった。日本版「国家安全保障会議」(NSC)構想を推進した 総理就任以前から憲法改正に関しては集団的自衛権行使の是認を打ち出してきた 2007年には安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会を開催、集団的自衛権の行使は日本国憲法第9条に反しないとの報告書を得て、宮崎礼壹内閣法制局長官に対し、解釈変更の指示を行ったが、抵抗を受け頓挫した 第2次安倍内閣では、集団的自衛権行使是認派の小松一郎フランス大使を2013年8月8日に内閣法制局長官に任命した しかし、体調不良のため小松は退任し、代わって内閣法制局次長であった横畠裕介を2014年5月16日に内閣法制局長官に任命した 横畠は、2016年3月18日の参議院予算委員会において、「我が国を防衛するための必要最小限度に限られる」としながらも「憲法上全てのあらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されていると考えていない」と答弁している。集団的自衛権の行使に関し、角田礼次郎内閣法制局長官は1983年2月22日の衆議院予算委員会で「行使には憲法改正が必要である」との答弁を行った しかし安倍内閣は、憲法改正の手続を採らず、政府の憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使ができるようにすることを強く訴えた 2014年2月12日の衆議院予算委員会で従来の政府見解と異なっているとの指摘を受けると、安倍は「先ほどから、法制局長官の答弁を求めていますが、最高の責任者は私です 私が責任者であって、選挙で国民から審判を受けるのは、法制局長官ではないんです、私なんですよ」と発言した このため、野党やマスコミから立憲主義に反するとの批判の声が上がった 2月13日に開かれた自民党の総務会で村上誠一郎は「総理の発言は、選挙で勝ったら、拡大解釈で憲法を改正しても、何をしても良いのかと理解できる その時々の政権が解釈を変更できることになる」と述べ、船田元は「拡大解釈を自由にやるなら、憲法改正は必要ないと言われてしまう」と述べた。4月3日、自民党山口県連などが憲法改正に向けた「総決起大会」を山口市で開催 同大会で講演した安倍は、政府が保有の是非を検討する敵基地攻撃能力について、「私は『打撃力』と言ってきたが、基地に限定をする必要はない 向こうの中枢を攻撃するということも含むべきだと思っている」と述べた。それとともに防衛費を拡充する必要性を強調し、2023年度は当初予算で6兆円程度(2022年度は約5兆3687億円)確保することを訴えた。* 第1次政権時代から経済財政政策のブレーンを務める高橋洋一は、ほとんどの政治家がマクロ経済政策に関心を持たない中、安倍は高い関心を持ち失業率の抑制を重要視していることから、まるで野党が主張するような政策を掲げる一風変わった人物だが、非常に人当たりがよく漫談をやらせたら天下一品であり、人たらしで、「世界一の肩揉み名人」と評した。* AFP通信は、生まれながらにして政治家になるためのレールが敷かれていた三世議員で温厚な性格だが、「美しい国」づくりをスローガンに「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正を最重要課題に掲げて取り組み、第1次政権時代から一貫した北朝鮮に対する強硬路線は特筆すべきものがあると評した。* 政治ジャーナリストの野上忠興は、国会では強気な姿勢が目立つが本来は根が優しい、むしろ気弱ともいえる性格であり、とくに女性には強く言えないと評した。