Images of 宇宙の小石
ナスカの地上絵は現在約800ヶ所登録されている世界遺産の中でも最も自分の目で確かめたかった所の一つだ。地上絵は350平方キロの砂漠に100以上の幾何学模様やハチドリ、サル、コンドルなどの動物や木、海藻なども描かれており、最大の絵は300メートル以上もある。20世紀の前半に発見されるやいなや、その起源、制作者、目的などをめぐって論争を巻き起こした。絵があまりに巨大なため、人間が描くのは不可能、宇宙人が描いたのだ、という説も登場し現在でも完全に否定された訳ではない。しかし、現在では西暦200〜700年頃にかけてこの地方に栄えたナスカ文化を担った人達による制作、というのが定説になっている。その根拠は近くにあるカワチ遺跡などから出土した多彩色の土器に、地上絵と同じ絵柄が見られるからだ。絵は砂漠の暗赤色となった小石を約20cmの幅で取り除き、石の下の白い砂を露出させるという方法で描かれた。ナスカは年間20ミリ程度しか雨量が無く、大きな地殻変動や気象異常も無かったので1000年以上も絵が消されること無く現在に至ったと考えられている。目的についても謎に包まれているが、有力な説の一つはこの地は雨が少なく作物ができにくい地であるために、山、天体など信仰対象に対して絵の上を雨乞いの祈りをしながら歩いて一周したというものだ。(ほとんどの絵が一筆書きになっているので一周できる)しかし、これも一つの説に過ぎない。この謎に包まれた巨大な絵を空中から見たときは、小型飛行機の中では歓声があがり、大きな感動に包まれた。
(写真はナスカの地上絵・ハチドリ)
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