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シャネル 2026年リゾートコレクション ― 湖畔に咲く自由

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シャネル(CHANEL)が2026年リゾートコレクションの発表の舞台として選んだのは、イタリア・コモ湖畔の名門ホテル「ヴィラ デステ」。このルネサンス様式の邸宅は、長年にわたり著名な芸術家やスターたちが集う隠れ家的存在として知られており、非日常的な優雅さと静けさに包まれた場所だ。今季のコレクションは、このロマンチックで開放的な雰囲気に呼応するように、自由で華やかなリゾートスタイルが展開された。

今回のラインナップには、「力を抜きながらも、どこか品格がある」そんなバランスが感じられるアイテムが目立つ。例えば、メタリックに光るジャンプスーツやケープは、動くたびに光を反射し、舞踏会のような高揚感を思わせる。スパンコールをびっしりとあしらったツイードのパンツスーツや、金色に染まったダマスク織りのセットアップなど、リゾートにふさわしいリラックス感とドラマティックな華やかさを兼ね備えたスタイルが数多く見られた。

装飾性を高めるための工夫として、フリルやギャザーがふんだんに取り入れられている点にも注目したい。ビスチェ型のドレスやタフタ素材を用いたケープ付きの黒いドレスなど、コンパクトなサイズ感の中にも動きが宿るディテールが効いている。ペールトーンのドレスでは、スカート部分はもちろん、ネック周りにもフリルが重ねられ、陽気で躍動感ある印象に仕上げられていた。

シャネルの象徴ともいえる「カメリア」をはじめ、マグノリアや藤、シャクナゲ、そしてオレアンダーなど、花々からインスパイアされた色や形も本コレクションの重要なモチーフとして取り上げられている。淡いシフォン素材にこれらの花々をイメージさせるパターンを落とし込み、ドレープの美しさと透け感を活かした幻想的なドレスが登場。まるで庭園をそのまま纏ったかのような詩的な表現が魅力だ。

さらに、コントラストを効かせたジャケットとスカートのセットアップでは、花のモチーフを総柄であしらい、裏地に鮮やかなフューシャピンクの花々を配したコートも印象的だった。繊細な白のレースブラウスやショートパンツ、レースのスリップドレスとカーディガンのアンサンブルなどにも、植物的な装飾がさりげなく施されている。

リゾートらしい気負いのなさを演出するのは、シルエットの柔らかさだ。身体にフィットしすぎないストレートカットのワンピース、肌に軽く触れるようなガウンタイプのジャケット、ゆったりと羽織れるニットカーディガンなどが、リラクシングなムードを引き立てている。パンツもフレアラインやワイドシルエットを中心に、タック入りでゆとりをもたせたデザインが目立った。

中でも印象的だったのが、ツイード素材の解釈。セーラーカラーのブルゾンは肩を落とし、袖にボリュームを持たせた構造で、従来のツイードにあったフォーマルさに、遊び心と柔らかさを加えている。ネックラインが広く開いたジャケットにはギャザーの切り替えが入り、女性らしい優雅な膨らみを演出していた。

総じて、2026年のシャネル リゾートコレクションは、「自由」と「優雅さ」が絶妙に溶け合った世界を表現している。ヴィラ デステという歴史と風格に満ちた舞台で披露されたそれらの装いは、リゾートファッションを超えて、ライフスタイルそのものにインスピレーションを与えるような存在感を放っていた。

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シャネル 2026年リゾートコレクション ― 湖畔に咲く自由
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