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17時40分、定刻をやや遅れてモスクワのシェレメチボ空港に到着。ここで同じ便名の機体に乗り換え、パリへ向かうのだ。このボーイングはどうやら日本とモスクワの専用線らしく、同じ便名なのに別の機体に乗るというのはなんだか不思議である。既に暗くなっており、雲の切れ目からモスクワの夜景を見て驚く。大通りの街頭は橙色の美しい夜景を見せているのだが、まるで建物の明かりが見えないのだ。住居区域ではないのだろうか。大通りの向こうは川のような印象も受けた。共産国ソ連の時代は昔となり、このように機上からカメラを構えることも許されたが、それにしても寂しい光景だ。機内アナウンスで、外気はマイナス10度と聞き、シベリアの冬を実感する。マイナス2桁の世界を体験するのも初めてだ。(小学校の時、魚市場を見学してマイナス60度の冷凍倉庫に入ったことはあるが)だが、不幸か幸いか外気に触れることなく空港のターミナルに入ってしまい、その世界を体感することは適わなかった。延々と長い窓際の廊下を歩かされ、パスポートコントロールに並ぶ。トランジット客もこれに従わなくてはならない。非常に薄暗い空港内において、このときほど心細いものは無い。心配事は何にも無いのに、なぜか無性に心配になってくるのである。シェレメチボ空港のターミナルは、経済上の理由で照明が減らされていて薄暗い、というようなことを聞いていた。しかし、立派な免税店があるし(成田よりも豊富!)その店内は非常に明るい。どうやらターミナルの照明が暗いのは経済上の理由では無いようだ。ブリティッシュバーや、インドカフェのようなレストランも充実しており、過ごす気になれば、それなりに楽しめる場所でもある。定刻を遅れて到着したとき、機内アナウンスで1時間半後に1番ゲートへ集まるように指示されていた。やはり出発もスライドして遅れるのかと思い、それでも用を済ませてしまったので、少々早いが指定された場所に向かった。すると、中年のマダムが「バリ〜、バリ〜」と叫んでいるではないか。おお、ここからもバリ島に行く人がいるのかと思いきや、看板を見たら「Paris」出発は定刻だったらしい。既に集まっていた乗客は機内にいるらしく、私は最後の数名となって機に駆け寄った。そこには・・・・・恐れていたその機体が私を待っていた。

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