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「日本で最も美しい村」と私が勝手に言っているのではない。れっきとしたNPO法人が景観や環境や文化などを審査して、これまでに50近くを認定している。私が4回も行った長崎・小値賀島もはいっている。だが残念なことにこの前の大東島はまだ認定されていない。この岡山・新庄村は平成21年に認定された。しかも「日本の音風景100選」にも「日本の香り風景100選」にも選ばれている。ん? 音風景とは何ぞや、香り風景とは? と思わず疑問に思ってしまう。それでは行って確かめてみようではないかと、岡山からレンタカーで2時間かけて新庄村におもむく。結論からいえば、大納得。さすがに美しい。今まで見た里山の中でも、群を抜く美しさだ。あっと驚くことがしょっちゅう。しかし音風景がつかめたのか、香り風景がつかめたのか、そのへんは自信がない。人それぞれの解釈としておくことにしよう。新庄村のメインは2つとみた。一つは出雲街道の宿場町跡。もう一つは毛無山。けなしやまと読んでいたが、正式な名前は「けなしがせん」というらしい。そうこの山頂に立つと、もう前に大山や蒜山が迫ってくるのだ。かくも鳥取や広島に近いことが分かる。まず宿場跡の様子から。知られているのは、妻籠・馬篭、内川宿、熊川宿など。ところがそれらを連想するなかれ。この宿場跡はきれいな通りが通っているが、人は誰も散策などしていない。土産屋も全くない。知る人ぞ知るといった趣のところだ。しかしがいせん桜(日露戦争で凱旋したおりのゆかりだそうだ。)が両側に咲くころはさぞやにぎわうことだろう。音風景の説明も少し残っているが、私は毛無山にこそ、その訳を見い出した。その毛無山に登るのがたいへんしんどかった。69歳しかも足腰が弱ってきて、何度も断念するかと弱気になってしまう。登山口から2?というが、標高差は約600m。登りなれたクライマーならなんてことはないのだろうが、もう自分を叱咤激励するしかない。鶯やさまざまな鳥の鳴き声に励まされ、途中で湧き水を飲んで、ブナ林の中を歩く。岡山でありながら、「けなしがせん」と読むのは、大山にちなんでのことだろう。時おり「コツコツコツコツ・・・」と木をついばむような音が。あれはキツツキにちがいない。それで新庄村=音風景と単純に考えたのだった。まさに艱難辛苦の果てに1時間40分かけて山頂へ。あっと驚く景観。みごと! 180度全開。前に大山。横に蒜山。さすが日本海は見えなかったが、案内板には弓ヶ浜などとある。よかった、登ってきて。羽黒山よりも利尻・礼文よりも、三徳山よりもずっとしんどかったが、根性の果てに、「やったぜベイビー」とわけの分からない言葉が思い浮かぶ。おかげで湯原温泉の宿に着いたのは、6時半になった。またこの宿がよかった。(あとで口コミを書きます。)2日目は岡山を離れて、広島県へ。国営備北丘陵公園。いつも思うが国営の公園は徹底した手入れをしている。しかも広い。さらにせらにまわって、ユリ園やフジ園へ。どちらもスケールがとてつもなく大きい。関西ではめったに見られない花ばなを堪能したのだった。これを書く今も足の筋肉が痛くて、元にもどるまで時間がかかりそうだが、「日本で最も美しい村」は人に充足感を与える村でもあった。

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