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[何メートルもの高さのツツジ群と山上の古刹]
何万本ものツツジが咲く名所は全国各地にあるが、樹齢300年、樹高6m以上のものを始めとしたオンツツジの古木の大群生が、標高1000m以上の高地、3万5千平方メートルもの区域に密生しているような例は他に類を見ない。
その地は吉野川市山川町奥野井の標高1060m地点にある国の天然記念物「船窪のオンツツジ群落」。「阿波富士」こと、弘法大師ゆかりの阿波の修験道発祥の地・高越山(こうつざん・1133m)から南に延びる稜線の窪地に位置する。
ツツジの本数は1,200本程度だが、一本の木から数多くの枝が出ているため、一般的なツツジ名所の感覚で言えば、その数十倍の本数があるように感じられる。
それだけに毎年5月中下旬の土日は徳島県内の行楽客や登山客が押し寄せてごった返し、軽食やかき氷等の露店も出る。
道路が一車線ということもあり、上りと下りの対向する車の列がすれ違うのも大変。山道運転に自信のない方は他のドライバーの迷惑になるので、土日は探訪を避けていただきたい。
船窪のツツジを鑑賞した行楽客の何割かは、そこから車で林道を5分ほど走った所にある、奈良時代、役行者が創建したという古刹・高越寺に寄ってから帰る。
寺を擁する高越山の各所には行場があるが、奈良の大峰山の別称「東上山」に対して「西上山」とも呼ばれる。弘法大師も延暦20年(801)、行場で修行し、千手観音を刻んで一字一石法華経を山頂に埋めたという。
伽藍の大半は昭和14年の火災で焼失したが、山門と鐘楼、御水舎が類焼を免れた。その山門は徳島県五大重層門の一つに数えられる重厚なもの。
境内にはシャクナゲやツツジも咲くが、ここにも季節外れの紅葉したカエデが一本あった。
寺の参拝客用駐車場から寺までは三種のコースがあるが、真ん中の尾根道コースは駐車場の案内図板には記されてなかったので、迷わずそのコースを取った。そのコースは高越寺奥の院に上がった後、一旦下って再び上がり、高越山に達した後、一等三角点南から高越神社に下って寺の参道に出るようになっている。神社の石段下とその南東の尾根には、幹周が7mほどの杉の巨木がある。
寺に参拝後、帰路は起伏のあまりない東側の参道を辿ったが、途中、薬師岳の行場が残っていた。が、参道上に天狗の面が付けられた祠跡のある箇所から登る行場は石仏等が撤去され、廃止されているようだった。
この山の行場は大峰山のものと同様、真の行者かロッククライミング経験者でないと全ルートは辿れない。
車で船窪方向へと引き返す途中、往路は素通りした立石峠で降りてみた。改めて周辺を見ると峠名の由来になったと思われる立石が林道脇に立っており、峠碑の台座に上がってみると、この日一番の展望が広がっていた。
余談だが、愛媛県愛南町にも立石と立石峠(旧遍路道)があり、今年の正月、日本一長い(竣工した平成4年時点。海底トンネルや作業用トンネルを除く)歩道トンネルと共に回遊した。その三泊四日の旅行はスーパー低山の登山がメインだったので、フォートラ会員は誰も興味を示さないだろう(?)。
[船窪つつじ公園への車でのアプローチ]
徳島自動車道脇町ICを降り、国道193号を南下して国道192号が交わる交差点に出ると、192号を東進。尚、四国の東部から向かう場合は、土成ICを降りて国道318号を南下してから国道192号を西進する。
JR阿波山川駅東方の瀬詰交差点を南に折れて国道193号を南下し、住宅街を抜けた先のT字路を西に折れる。以降はつつじ公園や高越山の道標を頼りに進んで行けば、右急カーブ(実際はY字路)左手に未舗装の駐車場とトイレが現れる。そこからつつじ公園までは徒歩7、8分ほど。
トイレはつつじ公園と高越寺にもある。
つつじ公園のサイトはhttp://www.city.yoshinogawa.lg.jp/docs/2010101200788/