Images of 村上一平 (実業家)
村上隆さんのインスタグラム写真 - (村上隆Instagram)「本日より、「バカな家族の狂詩曲(ラプソディ):村上福壽郎、隆、裕二」展、父、兄、弟の3人のアホ家族展を始めます。 「家族」とは、生殖可能なカップルが〈つがい〉になって子づくりをし、育てたり、育てられなかったり、いろいろあって、血縁関係の切れない縁(えにし)が出来てしまって、その別れられない関係故に愛憎が積層する人間同士の物語の構造を指し示しています。家族毎に脱力ヘトヘトになるような物語があって、それが渦巻くのがこの世というもの。 私が所属する村上一家にも物語はありますが、それほど、どろどろしているわけでもなく、ドラマ的には薄いのですが、ひとつ他の家族と違うのは、造作作品が大量に存在するということなのです。 父が福壽郎、母がイツ子。そして長男が僕、隆で、次男が裕二です。4人家族。 父はタクシードライバーをやっていて、母は専業主婦で、僕が中学高校の頃は、家計を助けるために、母はパートで働いていました。 父は75歳で引退しましたが、自分のために趣味でせっせとつくり続けたガラクタを溜めに溜めており、妻のイツ子はその積層した作品群を疎ましく思い、「こんなのもう捨ててしまいたい!」と不満に思うも、まぁ、そこは長年連れ添った夫婦ゆえ、ぐっと我慢して、破棄を踏みとどまり、福壽郎の部屋はガラクタで埋まってゆきました。 夫婦円満を願う息子の私は、2010年に中野ブロードウェイの中で小さなギャラリーを始めていて、そこでは何をやっても許されるということで、開催の動機と展覧会の内容が最低でもいいから、福壽郎のガラクタを展示販売したのです。すると、面白がった、カイカイキキ周辺の知人たちがそれらを安価とは言え、購入してくれ、ほぼ完売。 そして、他のギャラリーからも展覧会への出品のお誘いを受け、御茶ノ水の陶芸とイラスト専門の画廊、トライギャラリーでの2人展や、僕がデビューした大阪の現代美術画廊、青井画廊でグループ展もやったりして、そこでも、好評を得てしまいました。 福壽郎はその事態を喜ぶかというと、2回目の展覧会が終わった頃にアルツハイマーを発症し、夫婦円満という文脈から、介護へとフェーズが移って行き、その環境に疲弊したイツ子が脳梗塞で倒れてしまい、2人とも介助施設に入って生活するに至っています。 そろそろ福壽郎の死期も近かろう、と僕が勝手に思い込み(まだ生きてます)、評判の良かった作品たちを撮影し、まとめて作品集をつくって、村上一家の墓碑としようと思い、宮村周子さんと高橋実和さんに編集構成をお願いして、デザインは僕のNY時代の旧友であり、アート本の専門的なデザイナーの後藤隆哉さんの事務所で構築し、約2年の月日をかけて美麗な作品集をつくり上げました。中の福壽郎のポートレイトは鈴木心さんが撮影してくれていました。 出来上がった画集を見た人たちが、これまたみんな感動してくれて、本を俯瞰する展覧会をやってみてはどうよ?と言ってくれ、今どきの、高齢になったときの生き方における不安や共感などが綯い交ぜになってて、俗に言う感動ポルノというジャンルになるのかもしれないけれども、村上一家の恥部を見てもらうのも、芸術鑑賞のひとつの在り方かもなぁ〜と考えて、本の販売促進も含めて、展覧会、やることにしました。 展示作品は、福壽郎のつくった小物たちがメインで、僕と裕二の作品も申し訳程度に展示します。 福壽郎の作品は、日々の生活のなかでつくった小道具など趣味の創作が主体ですが、そもそも、造形の出発点は僕らが産まれた板橋区坂下三丁目の下町で、北九州から仕事を求めて上京してきた若い夫婦が行う子育ての貧困のなか、僕ら兄弟に、かまぼこにくっついている木の台座を溜め込んで乾燥させ、それを木工ボンドで接着させたりして、手づくりのおもちゃとして組み上げた造形物制作に端を発します。 福壽郎の作品集をつくっているときに、編集の宮村さんと高橋さんが僕の作品への影響を発見し、面白がっていました。特に木工の台座をつくると、その下にキャスターをくっつける癖など、そのまんま引き継いでおり、作品のみならず、僕の会社の内部の家具にはまたぞろぞろキャスターがくっつきまくっております。 父、福壽郎の発達障害的なネガティヴなあれこれが子どもに遺伝して、結果、たまたま芸術家稼業になったという。。。なんともバカな一家なんであろうか、と、ため息を漏らしていただければ本望です。 繰り返しになりますが、展覧会には、福壽郎のつくったアート未満な絵画や造作物。そしてキャスターの付いた家具。それらと、僕、隆と弟、裕二のアート作品を並べてみようと思います。 入場料は無料です。 何かを感じてくれたら、是非、福壽郎の作品集も購入いただけると嬉しく思います。 本の中の村上一家の恥部を見ていただくことで、何かみなさんの慰めになればいいなぁ、と思います。 で、版画を作って販売します。サインなんですが、自分の名前を忘れるどころか文字の書き方も忘れて居て名前を書き終わるまで30分もかかるので、サインも印刷にして、指紋とか、鉛筆でピューとか簡単な痕跡を残す様なものにしようと思います。35000円です。ははは。誰が買うっちゅーねん!」12月23日 14時33分 - takashipom
村上隆さんのインスタグラム写真 - (村上隆Instagram)「本日より、「バカな家族の狂詩曲(ラプソディ):村上福壽郎、隆、裕二」展、父、兄、弟の3人のアホ家族展を始めます。 「家族」とは、生殖可能なカップルが〈つがい〉になって子づくりをし、育てたり、育てられなかったり、いろいろあって、血縁関係の切れない縁(えにし)が出来てしまって、その別れられない関係故に愛憎が積層する人間同士の物語の構造を指し示しています。家族毎に脱力ヘトヘトになるような物語があって、それが渦巻くのがこの世というもの。 私が所属する村上一家にも物語はありますが、それほど、どろどろしているわけでもなく、ドラマ的には薄いのですが、ひとつ他の家族と違うのは、造作作品が大量に存在するということなのです。 父が福壽郎、母がイツ子。そして長男が僕、隆で、次男が裕二です。4人家族。 父はタクシードライバーをやっていて、母は専業主婦で、僕が中学高校の頃は、家計を助けるために、母はパートで働いていました。 父は75歳で引退しましたが、自分のために趣味でせっせとつくり続けたガラクタを溜めに溜めており、妻のイツ子はその積層した作品群を疎ましく思い、「こんなのもう捨ててしまいたい!」と不満に思うも、まぁ、そこは長年連れ添った夫婦ゆえ、ぐっと我慢して、破棄を踏みとどまり、福壽郎の部屋はガラクタで埋まってゆきました。 夫婦円満を願う息子の私は、2010年に中野ブロードウェイの中で小さなギャラリーを始めていて、そこでは何をやっても許されるということで、開催の動機と展覧会の内容が最低でもいいから、福壽郎のガラクタを展示販売したのです。すると、面白がった、カイカイキキ周辺の知人たちがそれらを安価とは言え、購入してくれ、ほぼ完売。 そして、他のギャラリーからも展覧会への出品のお誘いを受け、御茶ノ水の陶芸とイラスト専門の画廊、トライギャラリーでの2人展や、僕がデビューした大阪の現代美術画廊、青井画廊でグループ展もやったりして、そこでも、好評を得てしまいました。 福壽郎はその事態を喜ぶかというと、2回目の展覧会が終わった頃にアルツハイマーを発症し、夫婦円満という文脈から、介護へとフェーズが移って行き、その環境に疲弊したイツ子が脳梗塞で倒れてしまい、2人とも介助施設に入って生活するに至っています。 そろそろ福壽郎の死期も近かろう、と僕が勝手に思い込み(まだ生きてます)、評判の良かった作品たちを撮影し、まとめて作品集をつくって、村上一家の墓碑としようと思い、宮村周子さんと高橋実和さんに編集構成をお願いして、デザインは僕のNY時代の旧友であり、アート本の専門的なデザイナーの後藤隆哉さんの事務所で構築し、約2年の月日をかけて美麗な作品集をつくり上げました。中の福壽郎のポートレイトは鈴木心さんが撮影してくれていました。 出来上がった画集を見た人たちが、これまたみんな感動してくれて、本を俯瞰する展覧会をやってみてはどうよ?と言ってくれ、今どきの、高齢になったときの生き方における不安や共感などが綯い交ぜになってて、俗に言う感動ポルノというジャンルになるのかもしれないけれども、村上一家の恥部を見てもらうのも、芸術鑑賞のひとつの在り方かもなぁ〜と考えて、本の販売促進も含めて、展覧会、やることにしました。 展示作品は、福壽郎のつくった小物たちがメインで、僕と裕二の作品も申し訳程度に展示します。 福壽郎の作品は、日々の生活のなかでつくった小道具など趣味の創作が主体ですが、そもそも、造形の出発点は僕らが産まれた板橋区坂下三丁目の下町で、北九州から仕事を求めて上京してきた若い夫婦が行う子育ての貧困のなか、僕ら兄弟に、かまぼこにくっついている木の台座を溜め込んで乾燥させ、それを木工ボンドで接着させたりして、手づくりのおもちゃとして組み上げた造形物制作に端を発します。 福壽郎の作品集をつくっているときに、編集の宮村さんと高橋さんが僕の作品への影響を発見し、面白がっていました。特に木工の台座をつくると、その下にキャスターをくっつける癖など、そのまんま引き継いでおり、作品のみならず、僕の会社の内部の家具にはまたぞろぞろキャスターがくっつきまくっております。 父、福壽郎の発達障害的なネガティヴなあれこれが子どもに遺伝して、結果、たまたま芸術家稼業になったという。。。なんともバカな一家なんであろうか、と、ため息を漏らしていただければ本望です。 繰り返しになりますが、展覧会には、福壽郎のつくったアート未満な絵画や造作物。そしてキャスターの付いた家具。それらと、僕、隆と弟、裕二のアート作品を並べてみようと思います。 入場料は無料です。 何かを感じてくれたら、是非、福壽郎の作品集も購入いただけると嬉しく思います。 本の中の村上一家の恥部を見ていただくことで、何かみなさんの慰めになればいいなぁ、と思います。 で、版画を作って販売します。サインなんですが、自分の名前を忘れるどころか文字の書き方も忘れて居て名前を書き終わるまで30分もかかるので、サインも印刷にして、指紋とか、鉛筆でピューとか簡単な痕跡を残す様なものにしようと思います。35000円です。ははは。誰が買うっちゅーねん!」12月23日 14時33分 - takashipom